空々と漠々 くうくうとばくばく

BL小説ブログです。。。

ナツノヒカリ 31

 

チュプ。チュプ。チュプ。
 
横になった城島さんの顔に尻を向けてまたがり、城島さんのモノをしゃぶるオレ。
こんな恥ずかしい格好もいまじゃあ平気で……いや平気じゃないけど恥ずかしながらできるようになってる。
 
「真島くん……うまくなったね」
「ふわぁ、ほうひまさんのほはへえす(はあ、城島さんのおかげです)」
 
 
オレは、灰谷への気持ちに整理をつけた。
あいつがあそこまで言ってくれるなら、オレは親友としてあいつのそばにいる。
 
本当なら城島さんと会うこともやめたほうがいいと思うけれど、やめられない。
一人でヤればいいんだけど。
他人とヤる良さを知ってしまったオレは城島さんから離れられない。
 
城島さんがほぐしてくれるケツがジンジンするし、前も固くなってる。
城島さんのあそこも立派に立ち上がった。
振り返ってオレは言った。
 
 
「はぁ~……城島さん……もう……挿れて」
 
城島さんはゴムをつけるとオレの上に後ろから覆いかぶさった。
 
「はっ……はあぁ~」
 
この熱さ。メリメリと埋められていく感じ。
熱く波打つ感じ。
 
城島さんは一番奥まで入れると動かさずに首筋にキスをくり返す。
ゾクゾクと皮膚が泡立つ。
 
「はぁあ……ん……」
 
甘い声が出る。
オレの先からポタポタと待ちきれずにあふれ出す。
城島さんがオレのモノをギュッとにぎる。
 
「まだ、ダメだよ」
 
耳元で城島さんがささやく。
耳をしゃぶられて甘咬みされて。
 
「ふぅ……ん……はぁあ……城島……さっ……」
 
振り返ると舌を絡めたキスがくる。
口の中に気を取られていると、城島さんがオレの前を擦る。
 
「んっ……んっ……あっ……ダメ……んっ……」
 
と同時に激しく腰を動かした。
 
「あっ……はっ……はっ……いっ…んっ、あっ……ああっ」
 
快感で頭が真っ白になる。
 
「あっ……んっ……やっ…はっ……はあっ……あっ…」
 
 
オレはとことん快楽を貪った。
 
 
 
「真島くん、今日は積極的だったね」
「すいません」
「声もいっぱい出してくれるし」
 
改めて言われると、なんか恥ずかしい。
 
「カワイかった」
 
城島さんはオレに腕枕をして、額にキスをした。
 
「……」
 
城島さんは最近、決まってオレの額にキスをしてカワイイと言う。
 
最初はオレなんかにって思ったし恥ずかしかったし、今でも恥ずかしいけど。
でも、悪くない……と思っている自分もいる。
 
うわーなんだオレ~。
 
 
「ちょっとごめん」
 
オレの首の下から腕を外すと城島さんはベッドから出てスーツのポケットからタバコとライターを取り出した。
ベッドに戻ってくると灰皿を引き寄せ、タバコに火をつけた。
 
「あれ。タバコ吸うんですか」
「う~ん。やめてたんだけど。急に吸いたくなっちゃって。買って来た」
「なんか甘い香りがする」
インドネシアのタバコなんだ。そうだ、キスしてごらん」
「え?」
「いいから」
 
オレは戸惑いながも城島さんの唇に唇を重ねる。
 
「わかった?」
「ん?」
「もう一回」
 
チュッチュッと今度は唇を吸ってみた。
すると……。
 
「あ!」
「うん。そう。唇が甘くなるんだよ」
「ホントだ。オレにも吸わせて」
 
城島さんが口元にタバコを当ててくれる。
すうっと吸って、ふうっと吐いた。
自分の唇を舐めてみる。
甘かった。舌でたどると口の中も甘い、気がする。
 
タバコを挟んだ城島さんの指は長く、キレイだ。
煙を吐き出す城島さんの横顔は色っぽかった。
城島さんの口の中もきっと……甘い。
 
 
「城島さん」
「ん?」
 
オレは城島さんの上唇のカタチを舌でなぞった。
下唇も。
そしてチュッと真ん中を吸った。
 
城島さんの唇は甘い。
 
城島さんも応えてくれる。
 
城島さんの舌は甘い。
城島さんの口の中は甘い。
 
オレは初めて城島さんを求めた。
 
性欲のはけ口ではなく、今ここにいて、オレに応えてくれる城島さんを。城島さんのカラダを。
 
 
自分から舌を絡めていく。
抑えがきかない。
さっきイったばかりなのに、気がつけばオレのモノはまた勃ち上がりはじめていた。
城島さんがビックリした顔をする。
 
「どうしたの?すごいね」
 
途端に少し恥ずかしくなる。
耳までカッと赤くなる。
 
「若いなあ。おいで」
 
 
 
気がつけば城島さんに馬乗りになって腰をふっていた。
 
「城島さん……はっ……城島さん……あっ……じょう……しまっ……はあぁ」
 
初めて城島さんときちんと抱き合ったような気がした。
オレはセックスを楽しんだ。
受け入れてくれる城島さんの心とカラダを楽しんだ。
 
 
 
 
その日は会社帰りの城島さんと待ち合わせたので地元から少し離れたホテルを使っていた。
 
ホテルを出てから城島さんはずっと何かを考えているようで上の空だった。
オレの方を見ない。
 
大丈夫だとは思うけど、また知り合いに見られても面倒だから、駅で別れて別々に帰ろうとオレから話してあった。
 
 
「じゃあここで。気をつけて帰ってね」
 
城島さんはいつもの笑顔で言うとすぐに立ち去ろうとした。
なんだかこのまま会えなくなるような気がして、不安になった。
 
「城島さん」
 
気がつけば城島さんの腕をつかんでいた。
 
こんな風に城島さんを引き止めるのは二度めだった。
でも、この間とは違う。
いや、同じか? 
 
 
少し驚いた表情の城島さんが言った。
 
「どうしたの真島くん」
「城島さん。また会ってくれるよね」
 
城島さんはオレの問いかけには答えずに少し困ったように微笑んだ。
 
 
 
その時だった。
 
「真島」
 
声の方を振り返ると灰谷が立っていた。
 
 
「灰谷」
「オマエこんなとこで何してんの?」
「え?」
 
灰谷の後ろには明日美ちゃんの姿もあった。
 
オレは慌てて、城島さんをつかんでいた手を離した。
 
 
「オマエこそ……」
「オレたちはご飯食べに……もしかしてその人が親戚の人?」
「え?ああ……」
 
どうしよう。
驚きすぎて頭が回らない。
城島さん、なんのことだかわかんないよな……。
ええと……。
 
 
「君が灰谷くん?」
「はい」
「そして、その彼女さんかな?」
「はい。今晩は」
 
明日美ちゃんが挨拶を返しながら微笑んだ。
 
「今晩は。こいつから話はちょくちょく。お世話になってるみたいで。城島です」
 
城島さんが微笑んで挨拶した。
 
合わせてくれた!!
 
 
「真島にこんなに若い親戚のお兄さんがいたなんて知らなかったです」
 
なんでそんなとこツッコんで来るんだよ灰谷は!
 
「会うのは久しぶりだからね。大きくなっててビックリしてる」
 
城島さんはオレを見て微笑んだ。
 
「真島くん、お久しぶり」
「ああ。明日美ちゃん。うん、久しぶり」
 
なんとか早く、城島さんと灰谷を離さないと……と思っていたら、灰谷がとんでもないことを。
 
「もうお帰りですか。良かったらみんなで一緒にメシ食いませんか?オレらこれからなんで」
「何言ってんだ。オマエらデートだろ」
「いやいいんだよ。二人より四人の方が楽しそうだし。いいよな明日美ちゃん」
「うん」
「美味しい洋食屋があるっていうから来たんですけど、よかったらそこでどうですか」
 
ふざけんな。
こいついつもこんなにハキハキしてねえし、全然フレンドリーじゃないくせに。
なんで今日に限って……。
 
「ごめんね。明日、ちょっと約束があって朝早いんだ。悪いけどメシはまた今度に」
 
城島さんは感じのよい笑顔で灰谷に告げた。
 
「そうですか」
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
 
城島さんはオレの頭をクシャっと撫でると行ってしまった。
 
 
オレは城島さんの姿を目で追った。
本当にこのままって事ないよな。
不安が押し寄せた。
 
 
「親戚のお兄さんって若いな。歳いくつ?」
 
灰谷が何か言ってる?
 
「え?」
「あの人、歳いくつ?」
「二十八」
「へえ~知らなかったよ節子の方の親戚?」
「いや、親父の方の……」
 
城島さん、振り返らないな。
 
「ふ~ん。いとことか?」
「え?ああ。まあそんな感じ……ワリぃ、オレ帰るわ」
「なんだよ。三人でメシ食おうよ」
「いやあ、帰るわ。疲れてて眠いし」
 
早く。早く話さないと。
 
「そっか。じゃあな」
「またね真島くん」
「うん。じゃあ」
 
 
灰谷と明日美ちゃんから遠ざかりながら、城島さんに電話をかける。
 
城島さん、頼むから出てくれ。このままなんてことないよな。
でも……なんかイヤな予感がする。
 
『はい』
 
出てくれた。
 
「城島さん。オレ」
『うん』
「さっき、ごめんなさい。合わせてくれてありがとう」
『いいよ別にそんなこと。大したことじゃない。下の名前知らなかったから、こいつとか言ってごめん』
「いや、そんなの別に」
 
 
会話が途切れた。
なんか、なんか言わなきゃ……。
 
「城島さん……オレの、下の名……」
『彼が……灰谷くんがそうなんだろ』
「え?……うん」
『そっか。彼女がいるんだね』
「うん。あのね、城島さん……このまんまって事ないよね」
『……』
 
もう、会わないと言われるのが怖かった。
 
「また、会ってくれるよね」
『……』
 
長い長い時間に感じた。
 
『……うん』
「よかった」
『おやすみ』
「おやすみなさい」
 
オレは胸を撫で下ろした。
 
 
不思議なことにその時、オレの頭の中には城島さんの事しかなかった。
 
 
 
 
 
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