空々と漠々 くうくうとばくばく

BL小説ブログです。。。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『アキノワルツ』休載について

『アキノワルツ』、お読みいただいてありがとうございます。タイトルのままですが、しばらくお休みを頂きます。週3日投稿していましたが、ストックが無くなってしまいました。くわえて首と右腕に痛みがあり、長時間キーボードを打つのが困難になったためです…

アキノワルツ 第42話 春日井大社

「久しぶりだな」灰谷を見て春日井が言った。 「オレのこと、覚えてるんですか?」「覚えてるさ。灰谷だろ。西村と同じチームにいた」 春日井が自分のことを認識していたこと、名前まで覚えていた事に灰谷は驚いた。 「良いセンスしてた。いまどこでやってる…

アキノワルツ 第41話 サッカー

ピピー。 試合終了を知らせる笛の音が響くと、灰谷はその場に倒れこんだ。 ハッ ハッ ハッ ハッ。 息がはずみ心臓がバクバクと音を立てた。肺が新鮮な空気を求めている。 苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。 なんも考えられない。 灰谷は目を閉じ、カラダの声…

アキノワルツ 第40話 金曜夜の電話

『灰谷、ヤバイ。助けてくれ~。親父に殺される……』 金曜の夜に物騒な電話をかけてきたのは少年サッカー時代のチームメイト・西村だった。 「何?どした?」 話を聞いてみればなんのことはない。西村の父が毎週末、仲間と楽しんでいるサッカーのメンツが足り…

アキノワルツ 第39話 雨のコンビニ⑤

「と…友樹…あの……オレ……」オレの声が震えている。 と、その時、ふいに友樹が下を向いた。友樹のつむじが見える。 そして肩が小刻みに震えはじめた。 え?泣いてる?……。え?え? 「……くッツクククク。アハハハハッ」友樹が腹を抱えて笑い始めた。 「マコ先輩…

アキノワルツ 第38話 雨のコンビニ④

「灰谷先輩、楽しんでますかねえ」 黙っているのにもさすがに飽きたのか脚をブラブラさせながら友樹がいう。 昨夜灰谷から電話があった。 「ワリぃ、明日迎えに行けなくなった。徒歩で行ってくれ」「なん?どした」「バイトも休みもらったから」 何事?と聞…

アキノワルツ 第37話 雨のコンビニ③

ブチブチッ。 天井のスピーカーから、コンセントにささったケーブルを無理やり強く引き抜いた、みたいな音がした。 「あっ有線」と友樹がつぶやく。 店の中に流れていたBGMが止まってしまった。 「店長に言わないと」と立ち上がろうとした友樹に「雨風強いと…

アキノワルツ 第36話 雨のコンビニ②

まるで嵐だよ……。 「友樹、アメリカンドッグ食わない?」 「え? いいんですかねえ」 友樹はチラリとバックルームの入口に目をやる。 「いいだろ。誰もいねえし。店長、当分出てこねえよ」「ですよねえ」「Suicaな。オゴるわ」とオレがスマホを渡すと「ごち…

アキノワルツ 第35話 雨のコンビニ①

時計の針は午後二時過ぎ。土曜日だというのにコンビニ店内は空っぽ。朝からどんよりした曇り空で予報は夕方まで傘マーク。 窓ガラスを拭く手をとめ、空を見上げれば予想どおり今にも雨が降り出しそうだ。 「マコせんぱ~い。来ないですねえ、お客さん」 床に…

アキノワルツ 第34話 『血まみれでも きみは うつくしい』

「マジナカ~、オマエらどこ行ってたんだよ~」「おう佐藤、勉学に励んでたか?」 寄ってきた佐藤の額を指ではじく。 「イタッ。なに上機嫌だよ真島は」「いや、んな事ねえよ」 って、ああ。こっち見てる灰谷の顔……。あれはちょい心配してんな。 席にすとん…

アキノワルツ 第33話 屋上で聞いたこと⑤

屋上のドアにカギを掛けて、ガーンと蹴るとカチリと閉まる音がした。