2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
『気をつけて。ホントにホントにホントに気をつけて』という節子の言葉を守り、安全運転を心がけながら灰谷は自宅に向けバイクを走らせていた。
♪フンフフン~ 鼻歌まで飛び出して、皿を洗う節子は上機嫌だった。
「ホンっトにオマエは……」 え?え?オマエは……何?
食事会のメニューもギョウザメインの中華に決まった。こりゃあ楽しみだぜっとオレは思ったけど、灰谷的にはどうなんだろうな。
「灰谷く~ん。座って座って」 居間のテーブルの上に料理本やらレシピノートやらを広げた母ちゃんがソファから嬉しそうに手招きする。
「しっかし、モノの少ない部屋だな」 一人になった友樹はあらためて部屋をぐるりと眺め、つぶやいた。
真島がいなくなると部屋にピンと張り詰めた空気が流れた。 パリパリパリパリと灰谷がレタスやキュウリを噛む音だけが響く。しばらくして友樹が口を開いた。
「夏休みにも来てましたよ、お店に。他校の女子たち。ねえ~灰谷先輩」
「友樹、どんどん食えよ」「いただきま~す」「唐揚げ、ほれ唐揚げ食べろ。うまいから。そんでポテサラな」 真島は友樹の皿にポテトサラダを盛りつけた。
「服、大丈夫でしたか?灰谷先輩」 真島がいなくなると友樹が灰谷に話しかけた。 「ああ。大丈夫」 盛大にぶちまけたと思ったが被害は案外少なかったようだ。服よりもベッドカバーの方が濡れている。まあでもこれは自業自得だ。 濡れたところを避け、灰谷は…
ドカドカドカドカ。 オレは足音を立てて階段をかけ降りた。降りきったところで立ち止まる。心臓に手を当てるとバクバクいっている。
なに意識してんだよ……。 なんだか胸がむずがゆいような気持ちがこみ上げた。 灰谷は真島の手首をつかんだまま顔の横から頭の上に上げ、バンザイの格好をさせた。そして両手でつかんでいた手首を片手だけでつかみ直した。男にしては細めの真島の手首は灰谷の…
「セクハラってのはな……こういう事だっ!」 叫ぶなり真島は全身の力を一気に抜き、鯨がローリングするようにカラダごとドスンと灰谷の上に倒れこんだ。
「野郎ども、天国の門にキッスしな!」 友樹が甘いロリ声を作り、自身の操るキャラクター、ミルハニの決めセリフを叫んだ。 「うお~ミルハニ総攻撃~」 キャラチェンジしてからどうにも勝てなくなったらしい真島の焦った声を聞いて、灰谷は再びスマホから顔…