2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
矢沢のモノマネでなんとか中田から笑いを引き出した。
「わざわざすいません」 灰谷が席をたち、教室の入口に立つと友樹はニコリと微笑み、小さく頭をさげた。佐藤はといえば灰谷の隣りに立ち、腕組みをし、友樹を上から下まで眺め回していた。
「あれ、マジナカいねえな。連れションか?」 結局オゴらされてしまった灰谷とご機嫌の佐藤が教室に戻って来ると、真島と中田の姿はなかった。
「ガーッ。ざけんなチクショウ」 あ、大きな声で叫んでる。
『高橋が言ってたんだよ。やらしいことできるって』
「ふ~~スッキリ」 例によって例のごとくハンカチ忘れちまったんで、ぬれた手をフリフリ、トイレを出る。まだ教室に帰るのは早いかもなあと向かったのはオレの憩いの場所だった。
「いやぁ!灰谷がオナってんの想像しただけで萎えるわ!」
「んじゃ真島、中田は?」 そう来たか佐藤よ。
「なあなあ真島、オレってアリ?ナシ?」 昼休みになっても佐藤は朝の話を忘れていなかった。
『未来は僕らの手の中』……か。
「なあなあ真島、あのな、オレってアリ?ナシ?」
夏の終わりに、買ったばかりのチャリを盗まれてからこっち、灰谷はいまだにオレを迎えに来てくれている。
朝、いつもの交差点に着き、オレの特等席(灰谷のチャリの後ろ)から降りたところで佐藤の呼ぶ声がした。