空々と漠々 くうくうとばくばく

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アキノワルツ 第25話 アリ? ナシ? ②

「んじゃ真島、中田は?」

そう来たか佐藤よ。

「ナシ」
「お?なんで」
「逆に掘り倒されてガバガバになりそう」オレはノリで答える。

中田は白い歯を見せてニヤリと笑い、「つうかオレもナシ。デカくてやわらかいのないと」と言いながらオッパイを撫でて顔をうずめるような手つきをした。

「中田~や~らしぃ~」と佐藤がはやし立てる。

「オマエら、いい加減でやめろよ」いままで静観していた灰谷があきれ顔でつぶやいた。

「佐藤、オマエあんなに混乱してたのに、なに普通に話しちゃってんだよ」

灰谷の正しい見解。

「いや~だから今朝も言ったじゃん。桜子ちゃんにBLマンガ借りたら面白くってさ」

佐藤は顔をキリッとさせ、「『男が好きなんじゃない。オマエが好きなんだ』。ギャー。純愛~愛だよ愛。真島きゅ~ん」

と、またまた後ろからオレに抱きつこうとするからシッシッと払う。

「んもう。照れ屋さん。んじゃあさ、灰谷は?アリ?ナシ?」

ゲッ!!
佐藤のヤツ、無邪気な顔して時限爆弾を渡して来やがった!

チッチッチッチッ。

「ナシだろ」

オレは心の動揺を押し隠して努めて静かに言う。
セーフ。解除成功。
しかし知らないこととはいえすんごい事するな、佐藤。


「なんでだよ」

チッチッチッチッ。
爆弾再スタート。

え?なんで?なんでって……。
なんでナシなのか?
ホントは大アリなのに?

チッチッチッチッ。

ええと……ええと……。

 

佐藤が無邪気な顔でみつめている。
中田がジャンプの向こうで耳をすませている(たぶん)。
灰谷が……灰谷は……見れない……。

 

チッチッチッチッ。


ええと……。

爆発。爆発する……。

「なんでってオマエ。だってさ。灰谷だぜ」
「だからなんで灰谷だとナシなんだよ。理由を述べよ」

チッチッチッチッ。

ああ、爆弾が止まらない。
このままだと大爆発。

とにかく、ええと……ええと……。

「ガキの頃からいっしょにいる灰谷だぞ。そんな気、起こるかよ」

止まった?止まった?

「いやいや、そういうのが定番なんだぞ。真島、想像してみろよ」

想像?
想像っつうか妄想はしてるけど?常に常に。
だって昨夜もオレ灰谷で……。

「ほれほれ?どうよ」

佐藤がなぜかグイグイ顔を近づけてくる。

チッチッチッチッ。

爆弾が……爆弾が……。

チッチッチッチッ……爆発寸前!!

 

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