空々と漠々 くうくうとばくばく

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アキノワルツ 第1話 秋の香り

赤信号でバイクを止めた灰谷はその長い足を持て余し気味に伸ばした。
夏の終わりに乗りはじめた原付バイクは今では立派な足がわりになっていた。

「寒(さむ)っ」灰谷はつぶやき、カラダをぷるりと震わせた。

ーーあれから約一ヶ月半が経つ。

表面上は相も変わらず、夏休み前とほぼ同じ日々が続いていた。

学校のある日は自転車で迎えに行き、週に三日はコンビニで一緒にバイト。
放課後は真島家に入り浸っている。

小さな変化といえば、真島のバイト時間が増えたこと。
バイクの代金を稼ぐためだ。
早く両親に返し終わって、好きにバイクに乗りたいとバイトに精を出しまくっている。
だがそんな真島もさすがに五連勤となるとしんどいらしく、ウダッていたのが今日の学校の昼休みのこと。
見かねて代わってやった。
そんな代打バイトの帰り道が今だった。


『帰りに寄れよ、母ちゃんにメシ作ってもらうから』真島はフォローも忘れない。

グ~グ~と腹が鳴る。
節子のメシ、楽しみだな。

信号が青に変わった。
灰谷はスピードを上げ、真島家に向けバイクを走らせた。

 

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